「明石高専建築会主催 2012 年度講演会 報告書」
10 月30 日(火)14 時40 分、明石高専 階段教室で、建築会主催の2012 年度講演会が開会された。講師は 株式会社 大林組の石川洋二氏、テーマは「大林組の宇宙エレベーター建設構想」。聴講者は在校生の建築学科1 年生から3年生が中心となり、非常に盛況な雰囲気の中で、建築会 遊川理事の司会の下、講師紹介が始まった。
石川氏は東京大学で航空学の博士課程を修了後、研究員としてNASA エームズ研究センター等を経て、株式会社 大林組に入社。
現在は、宇宙エレベーター調査研究開発チームの幹事として、責任のある立場でこの計画に携わっている。
講師は株式会社 大林組の石川洋二氏 | 建築会 遊川理事が司会を務めた |
この講演会のキーワードは、「逆転の発想」だったと思う。宇宙エレベーターを地球から積み上げて行くと、計算上では底面がおよそ10km 四方の基台空間が必要となる。これは現実的ではなく、ここで逆転の発想が生まれる。つまり地球から積み上げるのでなく、宇宙から吊り下げること。カーボンナノチューブと呼ばれる特殊素材の細いワイヤーを宇宙へ打ち上げ、繰り返しそれを太くしていく。地球の自転による遠心力により、それらにはテンションがかかり続け、結果エレベーターのケーブルが完成する。後は順次ス テーション等(太陽光パネルも含まれる)を送り出していくだけだ。2050 年頃をひとつの区切りとして、現実に進行中の計画である。
石川氏は、これらの話を踏まえ、地球と宇宙との建築の違いをこう表現した。
「地球の建築は圧縮力、宇宙の建築は引張力が重要」
多くの聴講者に建築という言葉が意味する可能性を感じさせた瞬間であった。
階段教室に1~3年の在校生が受講 | 講演を熱心に聞く学生たち |
講演を終えた後、会場での聴講者達の質疑が止まず、それは講師の控室へと引き継がれた。その光景にこの講演会の確かな充足感が表れていた。
講師の石川氏、この機会を与えてくれた明石高専の各関係者に感謝したい。
(Eio Kang/28期)
講演会の後、講師控室で行われた座談会風景 |